マテリアメディカとは?

ホメオパシーのレメディのプルービング情報を中心に、
臨床経験による情報、
毒性や薬効情報などを一つにまとめた本を
マテリアメディカ
といいます。


(*プルービングとは、健康な人が、その原料物質またはその希釈物質を服用した時に起こる生体反応の情報)


植物、動物、鉱物をはじめとする様々な原料を使った慎重かつ正確なプルービングによってレメディの特性が詳細に記録され、

それらは
マテリアメディカに基本的な情報として掲載されます。


さらに、
これらの豊富な情報に基いて臨床の現場で症例に対して用いられることにより、
完全治癒した事例の正確で詳細な情報が加えられることになります。

こうしてマテリアメディカの本には、
様々な症状の情報が掲載されることになります。

日々の診療において遭遇する、些細なことを含めて、
あらゆる症状についての記述が見られます。

これらの情報は、
日々臨床で使われるごとに、
実際の症例から得た確実性の高い情報で色づけされるため、
生きたマテリアメディカとして年々成長していきます。

このようにして作られたマテリアメディカは、
ホメオパシーの診療には必要不可欠の中心的存在です。

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生薬のマテリアメディカ

ここでは、ホメオパシーのマテリアメディカを扱いますが、
通常のマテリアメディカの歴史は古くから存在します。

古代エジプトのパピルス、
インドのアタルヴァベーダ、
ディオスコリデスによって編纂された「De Materia Medica」、
「神農本草経」
「名医別録」
「本草綱目」
など、
後世にわたって大きな影響を与えた様々なものがあります。

De Materia Medica」には959種類の生薬、
エジプトのパピルスには約700種類、
「神農本草経」には1年の日数に合わせた365種類、
「名医別録」も365種類の生薬が掲載されています。

これらマテリアメディカは、
当時の医療の要にもなっていました。

その後も多くの生薬のマテリアメディカが作られています。


ハーネマンも若い頃の翻訳作業やウイリアム・カレンのマテリアメディカを翻訳した経験から、
その後に作られたホメオパシーのマテリアメディカを作る役に立ったのではないでしょうか。


 

マテリアメディカの種類

ホメオパシーのマテリアメディカには、
本によって数十から千種類を超えるレメディの細かい情報が記載されています。

マテリアメディカは、
一つではなく、
いろいろなテーマ別に編集されているために、
数多くの種類のマテリアメディカが存在します。

なぜなら現時点においてもプルービングをはじめとするレメディに関する情報量は膨大であるからです。

総合的にプルービングを網羅したもの、
プルービングの中からエッセンスを収録したもの、
キーノートだけを厳選したもの、
特定の部位にだけ限定したもの、
感情と精神だけに限定したもの、
他のマテリアメディカには載っていないコツの部分だけを掲載したもの
など、
それぞれ個性的なものが多く存在します。



私が学んだ1980年当時は、インターネットなどもない時代で、
マテリアメディカの勉強は
ティモシー・アレン
の「Encyclopedia of Pure Materia Medica」

サミュエル・ハーネマンの「Materia Medica Pura」でした。

アレンの本は全12巻あり、
しかも非常に細かい英文字でぎっしりと書かれていて
とても読むのが困難な本でした。

それをすべて読んで
一つ一つ覚えていった頃が懐かしいのですが、

膨大なプルービング情報の一つ一つを繋げて総合的に達観することが出来ずに、
いつも途中で混乱していました。

現在ではこれを遥かに上回る膨大な情報量となっています。
とても1冊の本には収まりません。

日本では、瞬く間に完売となった「臨床家のためのホメオパシー・マテリアメディカ」は、

プルービング情報を病態別にまとめて、
現代医学の疾患名で検索できるように編纂されたものでした。

これは
日本中の医師や獣医師の先生方からの様々な要望から
1990年代に作られ、
無料配布していたものを書籍化したものです。


その要望とは、
自分の持つマテリアメディカの知識の確認や整理ができる本、
臨床で使いやすいコツを書いたもの、
他のマテリアメディカを読めるようになるためのマテリアメディカのガイド本が欲しい、
などでした。

当時は、
レメディ像を羅列したマテリアメディカばかりでしたので、
なかなか読みこなせる先生がいなかったのです。

一度先にレメディ像を把握してから読むと、
どんなマテリアメディカの一見とりとめの無いレメディのプルービングの羅列が生きた情報として読むことが出来るようになります。


この本は
すぐに完売し、
増刷前に出版社が倒産しました。

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その後
「臨床家のためのホメオパシー・マテリアメディカ第二版」
が作られ、
レメディ数も570種と初版の約2倍の量になりましたが、
出版されることはありませんでした。


また、専門家用の「ホメオパシー・マテリアメディカ大全」全20巻も
第一巻が出版された後で、
バブルの後遺症で出版社が倒産してしまいました。
こちらは、
世界で最も詳しいマテリアメディカだったため、
残念です。
ホメオパシー薬の他にも関連生薬も含めて
約2万種類を超える生薬の情報を取り入れるシリーズでした。

 

マテリアメディカ以外のマテリアメディカ

これらの成書に加えて、
現在では多くのプルービング情報や症例報告、
新しいレメディのマテリマメディカなどが
ホメオパシーのジャーナルやインターネット上のウェブサイトに公開されていますので、
それらも合わせて見る必要があります。

臨床例というのは、
プルービングを生きたものにするためには必須で、
例えば
Pulsatillaにはプルービングで同情を欲するというものがありましたが、
このプルービング結果が、
強く同情を渇望する、
同情で好転する
というキーノートに格上げされたのは臨床例の積み重ねによるものです。




マテリアメディカについて

「ホメオパシーのマテリアメディカは、ホメオパシー医療の土台である。マテリアメディカなくしてホメオパシーは無い。したがってマテリアメディカの純度・精度はすべてのホメオパシー医にとって死活問題である。」the Homoeopathic Physician

「臨床の道においても症候学の道においても、マテリアメディカの絶え間ない勉強を行わずに、ホメオパシーを実践する道は無い。」

「結論として、ホメオパシー医療を成功に導く道はたった一つしかない、それは学び続けること。」

The Prescriber




文責:森井啓二

引用

臨床家のためのホメオパシーノート 基礎編 (Nanaブックス)
森井 啓二
ナナ・コーポレート・コミュニケーション
2010-09-18